「CSCDとはいかなる組織であり、いかなる使命をもっているのか、何ができる可能性があるのかを問い直すことを通して、大学が発行する紀要ではない新しいタイプの書物を作ることに落ち着きました。」
とにかく不思議な本である。
これは大学の紀要である。一般に大学の紀要と言えば、一般の人は読まずに、その世界の専門家のみが読むものである。つまり、読む人だけ読む。なので、あまり装丁にこだわることはない。
一方、この冊子は表紙が和紙でできている。表紙に題名は書いてあるのだが、ぱっと見では気付かない。他に文字はない。つまり、この本のようなものが置いてあっても、一体何なのかはわからない。しかし、触りたいと思ってしまい、開きたいと思ってしまう。
内容も今までの学問という点からすれば一貫性はない。デザイン論からサイエンスショップまで書かれた紀要は世界初ではないだろうか。しかもカラーページが多くて、読まなくとも見ているだけで楽しい。
では、本当に一貫性はないのか?デザインはコミュニケーションになりえるのかという問いもあり、またサイエンスショップは市民と大学のコミュニケーション手段とも言える。
今までの学問に対する考え方がいかに自分の中で硬直していたのか、そしてこれから学問はどのような方向に発展しうるのかを私は考え始めた。読者に新しい観点を提供してくれるのがよい本とするならば、間違いなくこの本はよい本である。
評価:☆☆☆☆
(1-5で基本は2)
2009年6月16日火曜日
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