2009年6月17日水曜日

レイチェル・カーソン、青樹簗一訳「沈黙の春」

「このかがやかしい勝利がおさめられたのは、予防と治療という二つのことがあったからだ。」

世界中で農薬などの化学薬品が使われたせいで、生物は死に絶えてしまい、「沈黙の春」を迎えてしまった。いかに人間が化学薬品を使ったせいで生物が死滅しているのかが述べられている。環境破壊に関して考えているならば、まず読むべき本である。
上述した引用は伝染病の広がりをいかにして抑えたのかという過去の事例を紹介している部分である。現在、発癌物質は人間が撒いた薬品により人間に入ってきている。ならば、それらを撒かなければいい。病気を治すのは華やかであるが、病気にならないようにする方がはるかに安上がりである。
こんな簡単なことであるが、Jerome Ravetzが2006年に発表したThe No-nonsense Guide to Scienceの中では「予防はSHEE科学である」、つまり女性がやるものであり、今まで男性が行ってきた科学とは異なっていると書いてある。現在の学問世界の価値判断基準をつくってきた男性が権力を持っている限りは、女性の科学をやるのは、研究費がもらえないという経済的な観点から、大変である。
昔からあんまり変わっていない。でも変わった方がいい。

評価:☆☆☆
(1-5で基本は2)

2 件のコメント:

  1. ぼくも愛読しました。いま、その本を取り出して見ると
    読んだ日が1977年5月と書き込んでありました。当時、
    ぼくは将来、英語の運用能力は必須になると思っていました。
    そのため、当時持っていた英語力は不十分で
    一段のポリシュアップが必須ですし、学ぶとすればこれが最後のチャンス
    (年齢の点で)と背水の陣でした。いろんな作家の本を手当たり次第読みました。

    その中でも強く印象に残ったのがこの本で、今でも時々見返しています。
    彼女が伝えたかったメッセージが重要なことはちろんですが、
    その文章の美しさに強くひかれました。特にアメリカの自然を
    描写した部分は見事です。

    英文はそんなに難しくなく読みやすいから、竹内さんも
    是非一度、原文にもトライされることをおすすめします。

    後になって知ったのですが、彼女は一時作家になることを夢見ていたそうで
    宜なるかなと納得しました。(作家志望が海洋学者です!)

    ちなみにぼくのこの時の努力が後々予想以上に役にたちました。

    ”No effort will be wasted”

    これはDonald Keene さんの座右の銘の1つときいています。

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  2. 原著をいただきありがとうございます。
    早めに読みたいと思います。
    原著で読める本は原著で、と思って本を買いますがなかなか読むのが大変です。多読をしないとな。

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