2006年8月25日金曜日

フィールズ賞発表と朝日パクリ疑惑

国際数学者会議においてフィールズ賞、およびガウス賞受賞者が発表されました。このニュースにおける新聞報道を比較してみました。そして、朝日新聞のパクリ疑惑が浮かび上がりました。

一番大きく取り上げているのは朝日です。一面では取り上げないものの、二面の半分以上を使っています。グレゴリー・ペレルマン氏の受賞辞退を見出しにするほど大々的に取り上げており、ガウス賞の伊藤清京都大学名誉教授はそれよりも小さいです。
毎日、読売は小さめです。そして伊藤名誉教授が中心となっています。ペレルマン氏はそれより小さく辞退も小さめです。

さて、翌日8月24日の朝日の社説を見てみましょう。「ガウス賞 数学の奥深さを知った」と伊藤名誉教授の成果を社説として取り上げています。「あわせて、この機会に考えたいことがある。」「私たちは、6月13日の社説「数学の力」で、数学の理論は何十年もたってから応用の道が開ける場合が多いことを指摘した。」とあります。
ここで、6月13日の社説を読んでみました。忘れられた科学というシンポジウムに出て数学についていろいろ考えたというのが骨子です。このシンポジウムの開催日付は文部科学省、および科学技術政策研究所のHPを調べてもわかりませんでした。他紙の社説は、読売:タクシー業界、景観計画、毎日:小泉首相、医師不足、日経:政権交代めざす民主党が少し心配だ、昇降機事故関係者無責任、産経:重要法案先送り、新成長戦略、東京:歳出歳入改革、改正入管法、となっているので、速報性のないヒマネタだった可能性もあります。
さて、社説の内容に立ち入りましょう。この内容は非常に衝撃的です。2006/05/17に科学技術政策研究所からプレスリリースされた「忘れられた科学ー数学」に酷似しています。どこが似ていると引用するほどでもなく、そのままです。そして、引用であることは何一つ明記していません。つまり、朝日新聞はプレスリリースされたレポートをそのまま引用し、さも自分たちが発見したかのごとくです。驚きました。
「私たちは、6月13日の社説「数学の力」で、数学の理論は何十年もたってから応用の道が開ける場合が多いことを指摘した。」というのもつまりは、レポートにそのままです。呆れてしまいましたが、このまま8月24日の社説を続けます。「とかく目先の成果がもとめられがちだが、数学のような基礎的な学問は長い目でしっかり育てる必要がある。」これもパクリです。「数学の理論は強いのに、応用面は弱いという日本の体質にも行き当たる。」一般的に日本は理学が弱く、工学が強いといわれている中、何故こんなことが書けるのでしょうか?理由は簡単、レポートに数学の応用分野が弱いと書いてあるからです。「数学を使いこなしてさまざまな課題に挑戦する気概が、数学の側にも他の分野にも乏しいように思われる。」一体、何を調べてこんな結論に至ったのでしょうか?もちろん、レポートに書いてあることです。

ジャーナリストは他人が書いたものをパクッてもよいというのを知りました。


気分が悪くなってしまったので、伊藤の公式に関して一番面白かった日経で文章を締めます。
「ショールズ氏らが加わったヘッジファンドはロシアやアジアの金融危機では破綻したが、伊東公式の不備ではない。ときには論理的でない人間の思惑や欲望を数式だけでは表せない難しさを示している。」