2011年3月6日日曜日

宮台真司「14歳からの社会学」

「社会が完全じゃないから、人間は生きていけるし、社会も回っていく。常に前に進んでいける。完全になってしまったら、社会も人間もそこで止まってしまう。ぼくたちは、永久に不完全な存在だからこそ、永久に完全さを求めて前に進むことができる存在なんだ。それを忘れないでおこう。」

 昔の宮台は難しいことを述べていて,私にはちっとも理解できなかった.それが最近,子供ができたからなのか,わかりやすく説明するような文章を書き始めたように思う.もちろん,宮台が専門とする社会はわかりやすく理解できるようなものではないので,社会がいかに理解が困難なものであるかをわかりやすく説明しているのであるが.
 この本は14歳の子供向けの本である.社会をいかにしてとらえるのかの手がかりを書いてあるが,その手がかりを持って社会に入っていくのは自分自身である.
 宮台自身の過去も書かれている.失敗体験,学生時代に小室直樹と廣松渉に感染したこと,自身の映画や本の履歴.子供に語りかけるために,まず自分自身のことを語ろうとしたのだろう.
 書いてあることを頭で理解することはさほど難しくない.ただそれを,心の底まで入れて行動するには時間がかかりそうである.手元において,何度も読み返したい本だ.

評価:☆☆☆☆
(1-5で基本は2)

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