「法廷では科学的証拠と呼ばれるモノの非科学性にうんざりするし,科学者との議論では科学者の法システムへの無理解に…….それでも現実には,法律家と科学者は協働せざるを得ないのだ.」
以前,中村多美子氏が話題提供をされたサイエンスカフェに参加したときに,法曹界の科学に対する誤解を聞き紹介を受けた.例えば,科学的証拠を扱う際に,東京大学と地方大学が同じことを調べて異なる結果が出た場合に,東京大学の述べることが正しいと見なす,ということなのだ.科学的に考えれば,権威は科学的証拠に対しては何も関係しない.一方,科学者はそのような法廷の状況を聞き,出廷を躊躇するようになる.
本号の特集は「法廷における科学」である.本号には,DNA鑑定,自白,精神鑑定,疫学など様々なテーマが並ぶ.
DNA鑑定の項では,DNA鑑定自体は非常に制度が高いが,それを正しくない操作で行った場合に,冤罪を生む可能性があることが指摘されている.実に,当然のことである.
全体として非常に冷静に,科学的に書いている.(自白に関しては少し感情的であるという印象を受けたが.)今後,よりよい法治国家になるべく,国民全体での冷静な議論を希望する.
追記:
75年前の記事が掲載されている.科学を進めるには自由が必要である.時代が変わっても,大事なことは変わりない.
評価:☆☆☆
(1-5で基本は2)
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/
2010年7月18日日曜日
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