2011年7月20日水曜日

「再生可能エネルギー法案」を読む

 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」,通称再生可能エネルギー法案を読んだ.これは地震が起こる前に経済産業省から提出された法案である.
http://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003.html
 主な内容は,太陽光,風力,水力,地熱,バイオマス,その他の再生可能エネルギー源を変換して得られた電気を,電力会社は固定量で買い取らなければいけない,である.しかし,電力料金に上乗せすることで,買取分を電気使用者から徴収することが出来る.つまり,この法律による実質的な負担は,電気を使う人たちが払う.
 気になる点は2つある.
 1つ目は,「電気事業者(※電力会社)による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」には電力網への接続をしなくてもよい,という点である.そもそも太陽光や風力などは発電量が一定しないものなので,これは当然である.これを盾に,電力会社は電気を買い取らないことができる.
 2つ目は,「平成三十三年三月三十一日までの間にこの法律の廃止を含めた見直しを行うものとする」とある点.いわば,10年程度の時限立法である.スペインは太陽光発電に対しての補助金を下げてから,急激に発電量が落ちた.逆の見方をすれば,政府が作り出したバブルがはじけてから,適正な発電量に落ち着いたのだろう.実際,投機目当ての金が入っていた.
 法律の中身が悪いといっているのではない.経済産業省が自分たちの立場で出した法律を,政治主導の民主党政権がきちんと理解しているとは到底思えない.首相が自分の思いを表現した法律を,官邸が主導して出せばいいのだが,これではありものの法律に飛びついたのとしか思えないのだ.

 ところで,孫正義社長は,太陽光発電に執心している.休耕田にボトルでパネルを止める,との主張からは長期的な視点を持っているとは思えない.10年間でごっそり儲けて,その後は撤退する予定という疑念すら持ってしまう.

※この条文には「自然エネルギー」という言葉はない.「この法案のおかげで,自然エネルギーが普及する」と言う人には,ぜひ自然エネルギーの定義を訊いてみよう.(法案推進派の政治家でも自然エネルギーと言っている.賛成・反対の前に中身を読んでくださいね.)

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