「他人を信頼することが本人にとって有利な結果を生み出す社会的環境と、他人を信頼しないことが有利な結果を生み出す環境が存在すること、そしてその環境はわれわれが作り出しているということです。」
アメリカ人の方が日本人よりも他人に対する信頼感が高いという実験データがある。この理由として、筆者はルース・ベネディクト「菊と刀」を参考にしながら、集団内での非協力行動に対するコントロールが、「恥の文化」の日本人社会では行動が集団内で相互規制されるのに対し、「罪の文化」の西欧社会では罪の意識により個人の内部によって維持される傾向があることを示している。
品質のよしあしがわかりにくいものに関しては、特定の取引先と長く取引する傾向がある。これは長年やっているため信頼できるからである。逆にわかりやすいならばその必要はない。しかし、特定の取引先が本当によい値段で売ってくれているかは別の話である。社会的不確実性の低い相手との取引では取引費用を低下させる一方、機会費用が増加するためである。
一般的な言説を実験によって証明していく過程が非常に面白かった。まさに学者が書いた文章だ。
評価:☆☆☆
(1-5で基本は2)
2010年1月9日土曜日
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