2011年6月19日日曜日

変わらない九州電力

 普段の株主総会での議題は取締役の選定くらいしか議題がないので,特に注目していなかった.しかし,今回の九州電力の株主総会は注目である.
 第5号議案では以下のように定款の変更を求めている.
 「(原子力発電に関する宣言)第40条 当会社は、古い原子力発電所から順次、停止・廃炉の措置をとることとする。また、原子力発電所の新規立地、増設も行わない。」
 (東京電力)福島第一原発による原発震災を受けて提案されたようである.(ただし,提案理由には,原発震災から上記のような提案の間に論理的飛躍がある.)
 一方,取締役会としては,本議案に反対している.反対理由は,国の指示に基づき対策している,エネルギーセキュリティ面や地球温暖化対策面から原子力は重要である,という2つが主である.2つ目に関しては,国レベルのエネルギー政策の見直しの方向性に沿って,対応を検討していくそうである.
 一企業がエネルギーセキュリティまで考えているのは驚きである.それはいいとして,きちんと対策していることを株主がいかに信頼できるかであろう.私には九州電力が行っている対策が十分であるかを判定できるほどの情報はない.信じるしかないのだが,電力会社と国は情報を隠しているのではないか,という懸念を現在多くの人が拭えないでいる.結局,自分たちはきちんとやっているから信頼しろ,という昔からの態度がいまだに九州電力には残っているのだ.
 第6号議案では自然エネルギー開発を定款に入れるという要求であるが,取締役会は自然エネルギー開発の検討はするが,定款に入れる必要はないという立場をとる.
 第7号議案は「原発と地震・津波および火山活動調査検討委員会」の設置を要求している.この委員会が,取締役のほかに,研究者・現地住民代表,消費者代表他で構成することを求めている.取締役会は,ここでも同様に,自分たちはきちんとやっているから第三者は必要ない,というような回答をしている.
 第8号議案ではプルサーマル発電中止を定款に追加するように求めている.(東京電力)福島第一原発事故でプルトニウムが放出されたので,プルサーマル運転を中止する,という主張である.(こちらも文章に論理的飛躍がある.)取締役会は,またも,安全は自分たちで確認している,と言っている.
 福島第一原発による事故により,原子力ムラの人間が言っていることを信じることが出来なくなった.以前から信じられないというのはあったのが,より多くの人が思うようになった.しかし,九州電力は何一つ変わっているようには思えない.自分たちはきちんとやっているから心配するなという立場である.安全をみんなで監視しながらやっていきたいという株主や市民の想いはどんな事件があっても達成されないのだろうか?

追記:2011年7月15日
 株主からの提案は,すべて否決されました.

0 件のコメント:

コメントを投稿