2009年5月22日金曜日

ショウペンハウエル著、斎藤忍随訳「読書について 他二篇」

「読書とは他人にものを考えてもらうことである。」

ショウペンハウエルによれば、読書ばかりしていてはダメで、思索をしなくてはいけない。「自分の思索で獲得した真理であれば、その価値は書中の真理の百倍にもまさる。」そうである。

「良書を読むための条件は、悪書を読まぬこと」というのも興味深い。私は昔から、流行書の類はほとんど読まない。むしろ、名著であると長らく言われているものを読む傾向にある。これは他人が選別をした後に自分がいいところをとっていっているとも思えるが、最近出版されたから、という理由以外によって残っている本はやはり読んでいて心を耕してくれるように感じる。

「他二篇」のうちの一篇「著作と文体」には、文章を書く際には「もっとも心すべきは、自分に備わっている以上の精神を示そうとして、見えすいた努力をしないこと」とある。わかっていないことは書かない、とても当たり前に聞こえるが、世の中にはそれがわかっていない人がなかなか多い。ショウペンハウエルはわかっていることしか書いていないのであろう、この本はとてもわかりやすい。

評価:☆☆☆☆
(1-5で基本は2)

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