2008年1月16日水曜日

研究の質は下がった

文化人類学の先生の研究室に行ったら、ずっと書類を作成していた。最近は研究資金を得るために外部に対し申請書類が必要である。そしてその書類が膨大になってきて、かつ会議も増えてきたそうだ。「研究したいなあ~」とグチをこぼす先生。研究の時間が減ったのは確かである。
「そんなに書類を作って、研究の質は上がったんですか?」
「いや、下がった。」
昔の本の方が面白いらしい。最近はちょっとしか調べずに書くからやはり内容が浅い。
大学というのは象牙の塔だと揶揄される。ただ、象牙のようにまわりからの影響を受けにくければ、独自の時間感覚を持てて大学でしか生み出せない価値を生み出すことは可能である。大学では世界で極少数しか理解できないが人類の永遠の宝となるような論文が生み出されてほしいと私は思う。大学がもともと持っていた良さ、精神風土のようなものは文化として残してもいいと思う。大学が「社会の常識」という暴力で崩壊していくのを見るのは心苦しい。

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