2011年8月27日土曜日

ナボコフ,大久保康雄訳「ロリータ」

「ロリータ、わが生命のともしび、わが肉のほむら。わが罪、わが魂。ロ、リー、タ。舌のさきが口蓋を三歩すすんで、三歩目に軽く歯にあたる。ロ。リー。タ。」

ハンバート・ハンバートは13歳で,数ヶ月遅く生まれたアナベルに恋をする.しかし,アナベルは若くして病死してしまう.24年後,ロリータに出会うまで心に残り続ける.
ロリータは下宿先の未亡人の娘である.未亡人が死んだときに,ハンバート・ハンバートはロリータを連れて,アメリカ中をまわる旅に出る.
この小説は異常なほどの量の描写によって構成されている.その中心は,ロリータ.ロリータを描写すればするほど,描写するしかなかったのかとも思えてくる.ハンバート・ハンバートはロリータを愛しており,他の子との付き合いすら好まないが,ロリータはハンバート・ハンバートの手からするすると抜けるように自由に生きる.それが,ハンバート・ハンバートを苦しめる.
中年男性が愛した相手は少女だった.それだけでセンセーショナルに語られてしまうが,これはハンバート・ハンバートの短く哀しい愛の記録である.
評価:☆☆☆
(1-5で基本は2)

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