2008年12月23日火曜日

業績悪化の中で

製造業は業績悪化のため、大幅に雇用を削減している。その行為に対して「企業は競争力確保のために行っている」という解説をNHKスペシャルで聞いた。それでは一体何のために競争力を欲しているのだろう?企業イメージの観点からすれば広告費を最低限にして後々雇用を守ったという広告をする方がいいだろう。地球のために、環境のために、などと言っているくせに雇用は削減するようだ。

ただ、私が調べているのが少ないだけかもしれないが、企業経営者の口から「競争力のため」という発言は無い。もちろん、言ったら非難されるから言わないだけだろうという意見もあるだろう。しかし、誰だって会社のために一生懸命働いている人を辞めさせたくないという気持ちはある。さも気軽に雇用を削減しているように報道している姿勢には違和感を覚える。
では、マスコミに聞きたい、一体どうすればよいのだ?

企業が株主のために仕事をするようになったアメリカでは製造業は衰退し、短期的な利益を出せる金融が発達し、爆弾を世界に撒き散らしながら沈んでいった。イギリスも金融で規制緩和を行ったが、反面、製造業の中核である自動車産業はインドのタタに買われたジャガーくらいしか思いつかない。金融立国を計画したアイスランドは、行動を反省した。

駒澤大学が運用に失敗して154億円の損失を出して、理事長が解任された。(駒澤大学HPより。)新聞の解説を読むと、2~3%程度の運用を心掛ければ大学の資産運用としては十分であり、そのくらいならできるものだそうだ。仏教大学なのに、欲に溺れてしまったのだろうか?

このような状況だと金融はすべてダメで、やはり地道にものづくりをしている方が真っ当な金の稼ぎ方だという意見が出てくる。そうではなく、何事も程々が重要なのだろう。

いくらまで儲けることが出来るのか?ある程度でやめなくてはいけないのに、欲と好奇心が止まらなくてついには戻れなくなってしまう。科学者の研究倫理にも近いと感じる。
また、経済活動と科学者の研究活動に共通点を見つけた。

このようなことを考えると、いつも中学校の国語で読んだ森鴎外「高瀬舟」が頭に浮かんでくる。

0 件のコメント:

コメントを投稿