とあるイベントに行った。様々な分野の理系院生が自分達の研究及びその環境について語っていた。数学科のD1は数学について持論を語っていた。
「私がやっているゲージ理論は役に立たない。」
役に立たないなどと言うからどんどん研究費を削られているのではないか。
「ゲージ理論は物理学者も興味を持って、数学者と競いながら研究している。」
あれ、さっき、役に立たないと言っていたような?
「数学の研究には金がかからない。ノートとシャーペンだけだ。」
論文、雑誌はただではない。人的交流も研究を進める上では重要である。他の実験系理系に比べれば費用はかかりにくいのは確かであろうが、これでは年間に文房具代だけで研究できるような印象を与えかねない。
会場から「だったら、何故数学科が大学にあるのですか?お金がいらないなら、大学でやる必要なんてないでしょう?」と質問が出る。
発表者が答えられないので、他の聴取者が「集まる場として必要なんです。学ぼうと思ったときにどこに行けばいいのかわからないより、ここに行けば学べると分かっていた方がよいでしょう?」と回答。
その通りだ。
「数学科自体が減少傾向である。」
役に立たないものが減少するのは当然では?
「現在、全国的に数学科から数理科学科に変わりつつある。学科の名称は自己のアイデンティティーの維持の為に重要である。数学科は数学科であってほしい。」
「私は他の学科の院生と話すことで数学の新たな胎動を感じた。」
数学が他分野との交流の中で新しい数学を生み出したいのなら、数理科学科になるべきでは??
「現在数学がブームのようになっている。これはいい傾向だ。しかし、伝える人が数学専攻者以外である。これは問題だ。数学者が伝えるべきだ。」
以前から数学者がやろうと頑張ってきたが、あまり成功しているとは思えない。何故数学者が伝えるべきか、と会場から質問が出た。
「数学を研究したことがある人が伝えるべきだ。」
え~っ???私には理解不能。。。数学の研究だけが特異であると発表者は考えているようだが、そんなに特殊なのだろうか?
私の意見も数学科の総意ではない。しかし、数学科がこのような場所に立って話すのは少ないため、この発言者が数学科全般のイメージとして参加者に記憶される。本人は「数学科はパラダイスにすべきだ」と現状をまったく鑑みずに逃避のような発言ばかりを繰り返し、「数学科は数学を愛する変人だらけ」というイメージをあえてか作ろうとしているように見えた。はっきり言って、困る。もうちょっと自分の社会的位置を考えてほしかった。
追記:
この他にも、生物系の院生が「研究をできない研究者がアウトリーチ(自分の研究成果を専門分野以外の人に発信すること)をしても意味がない」と発言していた。
研究のプロと発信のプロは違うだろう?研究ができない人間はダメとでも言いたげだった。ふざけんな。中高の教員は一生懸命理科や数学への入り口を提供しているではないか?
2007年12月11日火曜日
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