2007年10月16日火曜日

ここの博士は止めました

博士を止めて教員になることにしてからは、行動が早い。早速コネを最大限に使おうと方々に電話しているが、今の時期はほとんど採用がないらしい。でも、数学以外のことをやって、それはそれで楽しんでいるようだ。
三人で昼食を取っていたら、もう一人もこのまま博士進学はしないと言い出す。先生が他の大学に移られるから、彼も移動しないといけないらしい。その先生についていくのか、それとも今の大学から近いところに別の先生もいるからそこに行くのか。
数学は実験器具が要らないから理系の中ではどちらかと言うと移動しやすい分野だと思う。また、指導教員はほとんどの場合一人だし、普段は個人作業なのでまわりがどういう人間であるのかはさほど問題ではない、と思われている。しかし、まわりの雰囲気というのは私は非常に大事だと思う。分野がまったく違うにしろ同期や近い学年が何を目指しているのか、そして数学教室及び大学としての雰囲気というのは大学ごとでかなり異なる。
「先生が急に言うから、どうしようかと思うよ。」

ふと、思う。
この人たちと一緒にいる時間は意外と短いのかもしれない。

2007年10月15日月曜日

ミスチルは客層がよい

朝日新聞2007年10月13日。

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長居競技場にミスチル効果 ライブ2晩で年間収入の8割
2007年10月13日21時26分

 大阪市が所有する長居陸上競技場(同市東住吉区)で初めてロックグループ「ミスター・チルドレン」のライブを開いたところ、2晩で年間の半分以上の収入があった。市営地下鉄の乗降客数も激増し、合わせて6400万円を超える増収。思わぬ「ミスチル効果」に、市は「次はサザンオールスターズか、ドリームズ・カム・トゥルーを」(担当者)と、2匹目のドジョウを狙う。

 競技場はJリーグ・セレッソ大阪の本拠地で、8月25日から開催された世界陸上大阪大会の会場にもなった。だが、住宅地が隣接しており、騒音を懸念してこれまでライブは開かれなかった。「ミスチルは客層がよい」という評判などから、開催に踏み切ったという。

 ライブは9月29、30両日に開催され、入場者数は計約8万人。市に支払われた施設使用料は4800万円で、05年度の同競技場の施設使用料収入(7400万円)の65%、06年度(5700万円)の84%だった。最寄りの市営地下鉄御堂筋線長居駅の延べ乗降者数は、2日間の合計で前週の同じ曜日と比べて8万3000人増えた。

 セレッソのサポーターからは「芝が傷むのでは」という声も寄せられたが、心配していた騒音に対する苦情はほとんどなく、「ベランダでビールを飲みながら聞いた」など、周辺の住民も歓迎ムードだったという。

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そうなんです、ミスチルは客層がよいのです!!

30日は私も行きましたが、MCで桜井さんも「この競技場でライブをするのはミスターチルドレンが最初」と言っていました。「これからB'zさんやサザンさんがライブをしたら、「ここはミスターチルドレンがやったとこか」と思うのかな。」(要約)とも言っていました。市の担当者とはちょっと違うね。まあ、別にいいんだけどね。
ちゃんと規制退場もしたファンも多かったしね。いくらアナウンスしても規制退場をしなかったことは認めます。"HOME" TOUR 2007-in the field-では過去の曲を結構演奏しました。ファミリー向けのチケットを発売していたことからも昔からのファンが子供連れで楽しめるのを目標にしていただろうと推定されます。だから、子供連れから退場できるように規制退場をしていたのですが、それを守らない人がいて嫌だった。
市営地下鉄がとても儲かったように書いていますが、30日は「昨日は地下鉄の駅がとても混雑して1時間待ちだったのでみなさんJRを使ってください」とアナウンス。地下鉄は儲かったけど、パンクでした。私はJRで帰りましたが、みんな行儀良く歩いていて、決してまわりに迷惑をかけるような人はいませんでした。アナウンスでも「ミスターチルドレンのファンはよい、と聞いております。」と何度も述べていました。

2007年10月12日金曜日

博士は止めました

講義に行こうと学内を歩いていたら、友達とばったり。「道を変えることにしたよ。」と言うので、複素幾何から代数幾何に変えるのかと思っていたら、博士に行くのを止めたと言う。驚いてずっと話を聞いたが短い時間だったので、昼食を一緒にとることにした。

学食で話を聞く。
もともと彼は博士に行っても高校の教員になろうとしていた。だから、研究者になるのを止めたというよりは、教員になるのを早めたということになる。2日前にふと就職課に行ったら、30歳までに専任教員になっていた方がいいと教えられたそうだ。博士修了が27歳、教員と博士を同時に行うのは大変だから1年間勉強するとして28歳、一度で合格するのは難しいから29歳。ぎりぎりだ。それなら早めに教員採用試験や私学適正を受けた方が仕事を得るという観点ではよい。2007年問題と言われているが、それに乗るためには早めに非常勤でもしていた方がいい。教採に落ちた人から非常勤への名簿に登録でき、それが常勤になる際に強いアピールになる。
「最近、研究が行き詰ってね。」
これが弱気にさせた原因の一つでもあるらしい。

「昨日はいろいろあってお風呂に入らなかったよ。」
それは、困る。

2007年10月10日水曜日

数学モデル

「爆笑問題のニッポンの教養」で渋滞学の西成活裕先生が数学モデルを作って渋滞問題を解消しようとしていた。この先生、航空学科出身だが「様々な物理や数学を勉強した」そうだ。「このときの幅広い勉強が今になって色々役立っている」とも書いてある。
私は数学を勉強しているが、他のことはとんと知らない。数学がどんなように使われるのかというのも学部生に教えていくのも大事なのではと思った。実際に何に活用できるのかがわからないと勉強の意欲が湧かない人もいる。もちろん、数学の中で閉じていることに不満を感じない人もいるので、全部が全部その道に進めとも思わないが、私は今までそんな教育を受けた覚えがないので、そういう話も聞いてみたかったと今になって思う。実は聞いたが昔から応用に関してあまり興味がなかったので忘れている可能性もある、というか大。数学科でもちゃんと数学モデルをつくることを考えて解こうとしている人、特に微分方程式や確率・統計系、もいるのだから、代数が一番好きだった私自身のせいであるように書きながら思えてきた。
なお、ギボンズのモード論によれば、応用を見越したものだけが重要という前提は間違いであるというのも付記しておく。

追記:「爆笑問題のニッポンの教養」は今年一番面白い番組だと思う。


爆笑問題のニッポンの教養
http://www.nhk.or.jp/bakumon/

西成総研HP
http://soliton.t.u-tokyo.ac.jp/nishilab/

2007年10月7日日曜日

統計学を使った経済学

「統計学を使って、政策評価や提案を行っているんですよ。」と経済学部の後輩がゼミの内容を教えてくれた。何をやっているかよりも気になったことを訊いてみた。「統計学を使ってというけど、統計学を使わない経済学なんてあるのか?」あるらしい。
まだ、あるんだ、そういうの。
まあ、数学に酔って自分が何をやっているのかわからずに、数字さえ出せば科学的だと思っている人もいるから、数学を使わない経済学を全否定はしないけど。(「数学に酔って」というのは、「数学に振り回されて」という意味。)

2007年9月30日日曜日

欺瞞団体経団連とは?

YOMIURI ONLINEからの引用。

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大学院修士1年の採用活動、経団連が自粛呼びかけへ

 技術系を中心に修士(大学院修士課程修了者)の企業への就職が増える中、日本経団連は27日、会員企業に対し、修士1年時に広がる大学院生の採用活動の自粛を呼びかける方針を決めた。

 選考のルールがあいまいなため、採用活動が1年時の秋から、半年近く続くこともあり、「浮足立って研究に集中できない」などと大学から批判が出ていた。経団連は、倫理憲章に大学院生の新卒採用についても、「学事日程の尊重」を明記して、各企業に適正化を求める。

 経団連の今春の調査によると、技術系新卒採用の7割以上が修士。かつては修士2年時に、学校推薦など就職先が決まるケースが多かったが、最近は、学生自らが企業のホームページに登録して選考を受けるのが主流。製薬系の9月を先頭に、各企業も優秀な学生を確保しようと、採用活動が早期化、長期化していた。

 こうした状況について大学は、大学院教育の軽視と批判。大学院の重点化で、大学の学部とは別の大学院に進む学生が増えており、東京工業大の三木千寿副学長は「大学院教育の充実に力を入れているが、就職活動で寸断され台無しになる。半年で何を身につけたと判断するのか」と改善を求める。

 経団連は批判を受け、あいまいだった倫理憲章を明確にした。大学院の採用活動について「学習環境の確保に十分留意する」としただけだったものを大学と同じように、「学事日程の尊重」を明記、「学業に専念する十分な時間を確保するため、卒業学年に達しない学生への選考活動を厳に慎む」とした。

(2007年9月27日14時33分 読売新聞)

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2006年10月17日発表の経団連の倫理憲章で、学部4年生にならない学生への選考を自粛することは知られているが、「6.その他」において「大学院修士課程修了者の採用選考においても学習環境の確保に十分留意する。また高校卒業者については教育上の配慮を最優先とし、安定的な採用の確保に努める。」という「逃げ道」が用意されているのはあまり知られていない。大学院に行くのは現在では理系の方が多く、2007年7月31日時点での経団連の会長・副会長職は16名中8名が製造業の社長、または会長。2006年5月から御手洗冨士夫キヤノン会長が経団連会長を務めているので、上記の倫理憲章は御手洗現会長時に発表されたと分かる。大学院生に対し特例を設けているのは、キヤノンを含めた製造業に学生を採りたいとも思える。
上記記事では、製薬業が規制対象のように書いてある。会長・副会長職には製薬業の社長・会長は入っておらず、評議員会議長・副議長に武田薬品工業の社長が一人入っているだけ。経団連が理系修士の学業に配慮したようだが、結局は自身の企業に学生を採るために立派そうな文言を述べたにすぎない。
なお、キヤノンは修士1年生に対しての説明会を秋から開いているので、採用活動を自粛しているとはまったく思えない。

2007年9月29日土曜日

文部科学省科学技術政策研究所 「数学イノベーション」


第一章では、NISTEPの研究者が各国の数学研究を取り巻く状況を説明している。日本は数学に対して資金投下を行っていないのではないか、一方アメリカは1998年にオドム・レポートが出され数学研究振興策が打ち出された。フランス、ドイツも振興している。
ただ、日本は世界的に特殊な国民性があるらしく、「日本では数学に関する複数種の月刊誌が刊行されているが、これは他国では例のないことらしい。」。江戸時代も数学の問題が絵馬に書かれて町民が解法を競ったらしいし、現在でもインド数学がブームになっていることから、民間でも数学を楽しむ風潮は自然とあるとも私は思う。
私がこの章で好感が持てるのは、数学研究に関しての留意点である。イノベーションの達成や科学技術による社会的成果の獲得に対して「うまくいかなくなった場合でも、数学の発見などの副産物が生まれる可能性はあり、また研究者にとって数学的な試行錯誤の経験自体が後々の研究活動に有益だろう。数学研究自体には莫大な設備や施設を必要とせずそれほど大きなコストはかからないのだから、利益とリスクやコストを天秤にかければ躊躇する理由はとぼしいように思う。」。また「数学研究にも評価は必要だが、短期間での評価は逆に研究活動を萎縮させ、可能性の目をつんでしまうおそれがあることにも留意すべき」とある。
数学の人材は数学以外からも欲せられている。文部科学省も平成19年度新規戦略目標に「社会的ニーズの高い課題の解決に向けた数学/数理科学研究によるブレークスルーの探索(幅広い科学技術の研究分野と協働を軸として)」を掲げ、その戦略目標下の研究領域名は「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」である。」現場の研究者よりも行政の方が現状を見据えているという珍しい構造である。

第二章以降は、大学の数学者から、新日本製鐵や日本ユニシスなどで数学を使った研究をしている研究者から、数学がどのように使われているかという話である。この種の本にありがちな、数学は面白い、数学は役に立つ、というレベルではなく、数学がどのように使われていて、どんな人材が必要なのかという切実な願いが伝わってくる書き方である。数学は文化ではなく、経済発展、社会貢献に必要であるというこの本の意図が凝縮されている。

さて、ただの書評じゃ終わりませんて。
この「数学イノベーション」、大学事務室に送付しています。PDや学生がいそうな部屋、事務室に配架してくれとの注釈までつけて。NISTEP、大盤振る舞いですが、これは投資と考えているのでしょう。学術振興、研究振興も最近は経済観念がないとやっていけない流れです。(すべてがそれでいいとは思わないが。)